風味を高めるとともに、長い保存にも耐えるという点からも、もっとも合理的な保存法です。当地方では、キノコの収穫時期が天候の悪い時期のため、天日乾燥は下干し程度にとどめて、ストーブ(昔は、囲炉裏やかまどなど)の余熱を利用した火力乾燥で仕上げます。上手く作るコツは、なるべく短時間に仕上げてしまうことです。
保存場所は湿気が少なく、日の当たらない、なるべく天井に近い高い所がよく、食べるときは、冷水か温水に漬けて、一度戻してから調理します。防虫にも心がけて下さい。
防腐貯蔵が目的であるために、塩の量が過飽和(全部溶けきらずに底に塩が残る状態)になるように多めに塩を用います.塩分がどの程度であっても、調理の前に必ず塩出し・塩抜きと呼ばれる脱塩処理をします。
二重蓋付きの保存瓶を、熱湯殺菌して使います。キノコは、沸騰点で茹で上げ、煮汁が冷めたら保存瓶にキノコを八分目程入れて、茹で汁をいっぱいに注ぎ(少ないと冷えてから空気に触れ腐敗を起こしやすくなります。)、鍋に瓶の首筋までつかる位まで湯をはり、火にかけて80度で30分程脱気してから密栓します。
卯の花=豆腐のおからを利用した保存漬けです。塩だけで漬けたものと違い、おからの持つソフトな味がほのぼのとキノコに移り味にこくが出ます。
漬け方:キノコsに卯の花1s、塩1.6sが標準です。卯の花と塩はあらかじめよく混ぜ合わせておきます。はじめ漬け樽の底に少量の卯の花を2〜3p敷きつめてその上にキノコを並べたら卯の花をよく混ぜて敷きます。これを交互に繰り返して最上段に少々多めの卯の花と、茹で汁を注ぎ込みその上から蓋と軽めの重石をします。
調理する前に、塩出し・塩抜きを冷水か温水でします。
保存期間は短くなりますが、冷凍庫の中で保存する方法です。
キノコ(種類により違う)に含まれる成分には、
食用ばかりでなく、薬用・工業・造林・育種など、さまざまな分野において、まだまだ、キノコの果たす役割は大きいものと考えられます。
キノコは、日本の風土につちかわれた秋の山の幸・恵みです。発見収穫の喜びと、食卓を飾る新鮮な味覚は最高です。しかし反面、有毒なキノコを食茸と誤って食べて中毒を起こすことが、後を絶ちません。毒茸をよく知ることがとても大切で、正しいキノコの知識を知ることが、事故を防ぐ要となります。