山形大学大学院理工学研究科修士論文
「サケ科魚類のプロテオーム解析」   要約
2000年2月22日   編集者:氏家 義史

サケ科魚類のプロテオーム解析

山形大学大学院工学研究科博士前期課程電子情報工学専攻
氏家 義史
指導教官:工藤 喜弘、金谷 重彦


0 目次

  1. はじめに
  2. 実験方法
    2.1:供試魚および胚発生観察法
    2.2:タンパク質分析法
    2.3:N末端配列の相同性解析
  3. 二次元泳動地図作成
    3.1:二次元泳動地図作成および胚発生観察の結果
    3.2:胚発生とスポット数増加の相関
  4. N末端配列決定
    4.1:決定したN末端配列と相同性解析結果
    4.2:解析したN末端配列と相同性の高いペプチドの機能
    4.3:報告されたニジマスのビテロジェニン配列との比較
  5. ビテロジェニン断片と断片化過程
    6.1:ビテロジェニンの分解経路
    6.2:ビテロジェニン断片
    6.3:胚発生時期におけるビテロジェニンの断片化過程
  6. まとめ
  7. 参考文献

1 はじめに

   魚類は脊椎動物の基本的体制を有している。魚の胚の構造はヒトを含めた脊椎動物全般の胚の構造と似ている。このことから脊椎動物全般を通して胚発生の過程や仕組みは似ていると考えることが出来る。魚類の胚発生過程を理解することは脊椎動物の胚発生過程の根本的理解につながると考える。
   魚類の中でサケ科魚類(亜属:Oncorhynchus)は現在以下の9種の存在が報告されている[29]    世界各地に分布しているニジマスは盛んに研究されているが、一方、日本を含むアジアの一部地域のみしか生息していない[29]サクラマスの研究は少ない。
   またニジマスおよびサクラマスの胚を利用することは以下の利点がある。
  1. 体外受精であるので容易に人工授精が出来る
  2. 受精卵を人為的な環境下で容易に飼育できる
  3. 一生に1度だけ産卵することにより同調した系を組める
  4. 他の脊椎動物と比べて1尾の雌あたりの産卵数が多い(約1,000個)
  5. 卵殻が半透明であり胚発生を観察し易い
   本研究では受精からふ化までの胚のプロテオーム解析を行うことにより、サクラマス及びニジマスの胚発生過程を特徴づけることを試みた。まず胚全体のタンパク質を分子量と等電点により分離する二次元泳動地図(2PM:2-dimentional Peptide Map)の作成を行った。次に2PM上に検出されたスポットのN末端配列を決定した。そして、N末端配列が類似している既知のタンパク質の機能から、試料タンパク質の機能を推定し、推定された機能と出現時期から胚発生過程を特徴づけた。

2 実験方法

2.1:供試魚および胚発生観察法

2.1.1:供試魚
(1)ニジマス
   社会法人山形県内水面養殖振興会(山形県遊佐町)から2尾のニジマスの夏卵を採取し、それぞれを数尾の雄由来の精子と受精させた。それぞれの受精胚を試験区A,Bとする。受精日は1998年7月15日である。発生を止めた状態で山形県内水面水産試験場に搬送し、この胚を水槽に移し流水中(14.5±0.3℃)でふ化するまで(22日間)飼育した。

(2)サクラマス
   山形県内水面水産試験場で養成した1尾のサクラマスの卵を採取し、1尾の雄の精子と受精させた。受精日は1998年10月31日である。この胚を水槽に移し流水中(10.5±0.3℃)でふ化するまで(35日間)飼育した。

2.1.2:胚発生観察法
   毎日4粒の胚を取りホルマリン保存(60% ethanol, 30% Formaldehyde, 10% Acetic acid;ホルマリンは適宜加える)を行った。ホルマリン保存した4粒の胚は顕微鏡を用いて観察した。胚発生の状態は主にBallard[6]により報告された胚発生ステージと対応させた。


2.2:タンパク質分析法

2.2.1:サンプル調製
   胚1尾に1ml のLysis buffer(9M Urea,2% TritonX100,2% β−Mercaptoethanol,0.8% Ampholine(pH3-10))を加え、氷冷条件下で超音波破壊 した後、10,000×gで1分間遠心分離した。その後、上清を泳動試料として用いた。

2.2.2:二次元電気泳動法
   二次元電気泳動法は基本的に[30]の方法に従って行った。再膨潤液(8M Urea, 0.5% TritonX100, 10mM DTT, 2mM Acetic acid)で6時間以上再膨潤させた等電点ゲル(Immobiline Drystrip, pH3-10, 180×3×0.5mm, Amersham Pharmacia Biotech AB)の陽極側に泳動試料を添加し(2PMを作成するときは10μl、ブロティングを行うときは100μl)、等電点電気泳動を行った。次に平衡化溶液(a)(0.05M Tris-HCl pH6.8, 6M Urea, 30% Glycerol, 1% SDS, 16mM DTT)で10分等電点ゲルを平衡化処理し、更に平衡化溶液(b)(0.05M Tris-HCl pH6.8, 6M Urea, 30% Glycerol, 1% SDS, 240mM Iodoacetamide)で10分間平衡化処理を行った。この後、等電点ゲルを数分乾かしたあと、SDSゲル(Excel GelTM, 240×180×0.5mm, Amersham Pharmacia Biotech AB)を用いて二次元目電気泳動を行った。二次元電気泳動法によって分離したタンパク質は銀染色法[31]によって染色した。

2.2.3:ブロッティング
   Twobin buffer 9(25mM Tris, 192mM Glycine, 20% methanol)によるブロッティング[32,33]により、semi-dry transfer system(NovaBlot kit, Amersham Pharmacia Biotech AB)を用いて、二次元泳動ゲル中のタンパク質成分をPVDF膜(0.2mm Trans-Blot, BIO-RAD)へ転写した。転写後は染色液Coomassie Blue R250(0.025% Coomassie Blue R250, 40% methanol)で染色した。染色後は脱色液(50% methanol)で脱色した。

2.2.4:N末端配列決定
   二次元電気泳動を行ったSDSゲルよりタンパク質成分を転写したPVDF膜から、CBB染色で染色されたタンパク質スポットを切り取る。切り取ったタンパク質スポットは476Aプロテインシーケンサ(Applied Biosystems)によりN末端配列を決定した。

2.3:N末端配列の相同性解析
   決定したN末端配列を手がかりとして、 FASTAプログラム を用いてタンパク質配列データベース(nr-aa version 3.2t07, Genome Net in Japan )の相同性解析を行った。この相同性解析結果に基づいてそのタンパク質の機能の推定を行った。

3 二次元泳動地図作成

3.1:二次元泳動地図作成および胚発生観察の結果

   ニジマスおよびサクラマスの胚を受精からふ化までの間(ニジマス22日間、サクラマス36日間)1日ごと胚を採取し、2PMの作成を行った。各々の2PM上のタンパク質スポットを、出現時期および2PMより測定した分子量に基づいて整理した(表1・表2)。また、ホルマリン保存した胚の顕微鏡観察を行った。受精からふ化に至る胚発生の観察結果を表3に示す。

   2PM一例サクラマス(O. mykiss)ニジマス(O. masou)



表3:ニジマス胚およびサクラマス胚の発生の段階
時期Stageニジマス[Day]サクラマス[Day]
桑実期 (Morula Stage)6A23
胚盤形成期 (Blastula Stage)6C45
胚体出現期 (Appearance of Embryonic Body)10A56
卵黄栓閉鎖 (Complete Close of Blastopore)1479
尾芽胚分化 (Tail Bud Differentiation)15A8-912-14
心臓鼓動期 (Initiation of Heart Beating)191318
筋肉収縮開始 (Initiation of Muscule Concentration)2116-1721
発眼時期 (Prominent Appearance Eye Pigmentation)221822-24
ふ化 (Hatching)232235-26
StageはBallard[34]により記述された胚発生ステージを表す。


3.2:胚発生とスポット数増加の相関

   作成した各々の2PMのタンパク質スポット数を数えた。2PM上の累積スポット数、および表3で示された胚発生ステージをFig.4、Fig.5に示す。
   全ての2PMに対してスポット数を数えた結果、受精から日が経つにつれて2PMのタンパク質スポットの数が増加していた。ニジマスでは8-10日に、サクラマスでは10-15日にスポット数増加が最大であった。これらの増加の時期はStage12-17(サクラマス:8〜16日、ニジマス:6〜11日)と対応している。この時期は種々の組織や器官が発達する時期である[34]ことから器官形成と関連した遺伝子群が発現していることにより、ニジマス及びサクラマスにおいて急激なスポットの増加を示したと考える。
   これらのことから胚発生とスポット数の増加は関連があると言える。スポット数の増加は胚の外見上の変化に基づく遺伝子発現だけではなく、外見では見ることの出来ない組織の発達に基づいた遺伝子発現が起こっていることを示している。2PM上のタンパク質スポットの出現時期データは、どの時期にどのような遺伝子群が発現しているかを解明する手がかりになると考える。


累積スポット数

受精からふ化までの累積スポット数

4 N末端配列決定

4.1:決定したN末端配列と相同性解析結果

   二次元電気泳動により分離したスポットの中で比較的量の多いタンパク質スポットのN末端配列を決定した。決定したN末端配列をもとに FASTAプログラム を用いてタンパク質配列データベース(nr-aa version 3.2t07, Genome Net in Japan )の相同性解析を行った。

   N末端配列解析結果ニジマス(O. mykiss)サクラマス(O. masou)


4.2:解析したN末端配列と相同性の高いペプチドの機能

   本研究でN末端配列を解析したタンパク質スポットの数はニジマス胚では48個、サクラマス胚では50個の合計98個であった。これらN末端配列に対して相同性解析を行った結果、96個の配列はO. mykissのビテロジェニンと、1個の配列はS. sala(Atlantic Salmon)のapolipoproteinと、1個の配列はS. sala およびニジマスのalpha tropomyosinと最も相同性が高かった。表6にこれらのタンパク質の機能を示す。

   蛋白質の機能表6


   解析したN末端配列と相同性が最も高かったペプチドは、ほとんどの場合ニジマスのビテロジェニンタンパク質であった。ビテロジェニンタンパク質は胚全体のタンパク質量の80%であり、最も多量にあるタンパク質である[15,18]。二次元泳動ゲルから直接タンパク質を抽出しN末端配列が決定できたタンパク質の殆どがビテロジェニンであることから、本分析法では細胞内に多量に存在するタンパク質のN末端配列が決定されていると考えられる。
   ビテロジェニンタンパク質は、胚が受精から浮上までの間に必要となるアミノ酸および脂質、リン酸の供給源になると報告されている [15]。そのビテロジェニンタンパク質の分解過程と胚発生過程を関連づけることは生物の胚発生過程を解析するうえでの重要である。本研究で決定できたN末端配列をもとにサクラマスとニジマスの胚発生過程を、ビテロジェニンのタンパク質分解により特徴づける。


4.3:報告されたニジマスのビテロジェニン配列との比較

   報告されたビテロジェニン配列[18,36-40]と本研究で解析されたN末端配列とのアライメントを行った。

   アライメントの結果ビテロジェニン配列[18,36-40]とN末端配列とのアライメント



   また報告された配列間の類似度と、解析された配列と報告された配列との間での類似度を表7に示す。
表7:ビテロジェニン配列間の類似度
SequenceA/BSimilarity
[18]1594/165996.08
[36]1594/165996.08
[37]-1305/30998.70
[37]-2305/30998.70
[37]-3305/30998.70
[38]413/45091.78
[39]387/40795.09
[40]238/27387.18
ニジマス821/85695.91
サクラマス757/84090.12
A:同一であった残基数
B:全アミノ酸残基数

   表7より、文献[18,36-40]で報告された配列において87.18〜98.07%の類似度があった。ニジマス胚における解析されたビテロジェニン配列の類似度は95.69%であり、配列が最も長い文献[36]のビテロジェニン配列の類似度とほぼ同じであり、この類似度は妥当であると考える。サクラマスにおける解析されたビテロジェニン配列の類似度は90.12%とニジマスと比較して類似度が低くなっているが、これはニジマス胚とのビテロジェニン配列との相違と、サクラマスでのビテロジェニン配列同士の相違が影響しているためと考える。

   また、解析した配列間同士でも相違がみられるものがあった。例えばニジマスのスポット53およびスポット338のN末端側から7番目の残基はそれぞれアラニン(A)、アスパラギン酸(D)となっている。これらの配列は同一の胚から検出された配列である。このことはビテロジェニン遺伝子が複数個存在していることを暗示する。他の生物、例えばショウジョウバエ[52]、線虫[54]等ではビテロジェニン遺伝子が染色体上に複数存在することが知られている。これらのことから、ニジマス及びサクラマスでの染色体上の複数の位置にビテロジェニン遺伝子が存在し、それぞれの遺伝子間の配列に多少の相違があると考えられる。

6 ビテロジェニン断片と断片化過程

   生体におけるタンパク質の合成・分解のメカニズムは最近の研究で明らかにされつつある。しかし、生体内で分解される特定のタンパク質の認識や、タンパク質分解の時期の調整等、選択的タンパク質分解の仕組みについて解明されていない点が多い。本研究室ではニジマスおよびサクラマスの胚発生過程とビテロジェニンタンパク質の関連を調べてきた[50,53]。生体内におけるタンパク質分解を解明するために実際のタンパク質の分解過程を調べ分解されたタンパク質情報を蓄積していくことは、生物の細胞の中でタンパク質がどのように機能・分解されているかを解明していくうえで重要である。この節ではN末端配列をもとにサクラマスとニジマスの胚発生過程と、ビテロジェニンのタンパク質分解との関連を述べる。

6.1:ビテロジェニンの分解経路

   エンドソーム−リソソーム系には細胞内に存在する大部分のタンパク質を分解する機構としてマクロオートファージがある[43,44]。マクロオートファージは絶食や飢餓などの条件下で外来性タンパク質の利用が困難なときに著しく亢進される。胚発生においては外からのタンパク質を得ることが出来ない。そのため胚発生時期ではマクロオートファージが機能しビテロジェニンを分解していると考えられる。ビテロジェニン断片データはマクロオートファージがどのようにしてタンパク質が分解されていくのかを解明する手がかりになるであろう。

6.2:ビテロジェニン断片

   ニジマスおよびサクラマスでN末端配列が解析できたスポットの中でニジマスのビテロジェニンと相同性が高い配列はそれぞれ48個づつ、合計96個であった。この96個のN末端配列と分子量から推定される断片の長さをもとに、これらの断片をニジマスのビテロジェニン配列上にアライメントした。

   アライメント結果ニジマス(O. mykiss)サクラマス(O. masou)


6.3:胚発生時期におけるビテロジェニンの断片化過程

   本研究で解析されたビテロジェニン断片の中にはニジマスのspot53, spot338のように、N末端側が同じであるが先に出現したspot338より後に出現したspot53の方が断片の長さが短くなっているものもある。ビテロジェニンが開裂して出来た断片からさらに二次的、三次的に断片化が起こるとすると、娘断片は母断片に論理的に含まれ、かつ時期的に遅く出現する。そこで時期的に後に現れ、かつ先に現れた断片に論理的に含まれる断片は先に現れた断片の子孫であると仮定し、断片化過程を推定した。

   断片化過程ニジマス(O. mykiss)サクラマス(O. masou)

   胚発生過程と関連したビテロジェニンの断片化は昆虫において報告されている[51]。その断片化過程はプログラムされた一定のタンパク質分解パターンを持つと報告されている。、ニジマス胚およびサクラマス胚において胚発生の間ビテロジェニンタンパク質を効率よく分解し、その後の胚発生に必要な栄養源として利用していくことを理解するための手がかりになると期待される。全てのスポットのN末端配列が解析できたときは胚発生とビテロジェニンの分解過程及び、ビテロジェニン以外のタンパク質の合成・分解過程の関係が詳細に解明できるであろう。 またビテロジェニン断片データの蓄積はどの時期にどのように分解するかという、細胞内でのタンパク質分解の仕組みを解明する手がかりとなると考えられる。プロテオーム解析による実際のタンパク質データの蓄積は、生体内でのタンパク質の合成・分解過程についてより明確になることであろう。

7 まとめ

   本研究ではニジマス・サクラマスにおいて受精からふ化までの間、二次元泳動地図(2PM)を作成し、各々の2PM上のタンパク質スポットの出現時期と2PMより測定した分子量に基づいて整理した。2PM上のスポット数より、重要な胚発生の時期でスポット数がそれぞれ増加していることが分かった。スポット数が増加した時期は種々の遺伝子群が発現していることにより、ニジマス及びサクラマスにおいてスポットの増加を示したと考えられる。2PM上のタンパク質スポットの出現時期データは、どの時期にどのような遺伝子群が発現しているかを解明する手がかりになると考える。
   次に2PM上に出現したスポットのN末端配列を解析した。N末端配列を決定したほとんどのスポットはニジマスのビテロジェニンの部分配列であった。受精からふ化までの間これらのスポットが出現していることから、胚発生とビテロジェニンの断片化には深い関係があると言える。解析した全てのN末端配列と報告されたニジマスのビテロジェニン配列[18,36-40]のアライメントを行なった結果、報告されたN末端配列の間で相違が見られる部分があった。これらのN末端配列は同一の胚より解析された配列である。ショウジョウバエ[52]、線虫[54]等ではビテロジェニン遺伝子が複数存在することが知られている。これらのことから、ニジマス及びサクラマスでの染色体上の複数の位置にビテロジェニン遺伝子が存在し、それぞれの遺伝子間の配列に多少の相違があると考えられる。
   生体におけるタンパク質の合成・分解のメカニズムは最近の研究で明らかにされつつあるが、生体内での特定のタンパク質の認識や、タンパク質分解の時期の調整等、選択的タンパク質分解の仕組みについてまだまだ解明されていない点が多い。生体内におけるタンパク質分解を解明するために実際のタンパク質の分解過程を調べ分解されたタンパク質情報を蓄積していくことは、生物の細胞の中でタンパク質がどのように機能・分解されているかを解明していくうえで重要である。本研究では解析されたスポットの分子量よりビテロジェニン断片を推測し、ビテロジェニン断片のデータから胚発生時におけるビテロジェニン断片化過程を推測した。これら一連のプロテオーム解析による実際のタンパク質データの蓄積は生体内でのタンパク質合成・分解過程の解明に役に立つことができる。
   近年、人間活動全般にわたって内分泌撹乱物質等の化学物質による生化学的影響に関心がもたれ、内分泌撹乱物質検出試薬の開発なども盛んになる兆しが見える。しかしながら、最終的に生体への影響を調べるためには生体自身を用いざるを得ない。正常な胚発生を調べることは、正常な胚発生と内分泌撹乱物質にさらされた胚の胚発生を比較して内分泌撹乱物質がどのように胚発生に影響を与えるかを解明する指標となる。本研究でニジマスおよびサクラマスの正常胚での胚発生時における2PMを作成した。正常胚と異常胚の2PMを比較することにより内分泌撹乱物が胚発生時の発現遺伝子に与える影響を解明できる。内分泌撹乱物質による魚類の胚発生に及ぼす影響を調べることで、脊椎動物全体の胚発生に与える影響の基礎的知見を得ることが期待できる。
   ここで決定できたN末端配列はEdman分解法によって解析できた配列である。Edman分解法で以外の解析法(質量分析法、etc.)を使うことで、より多くのペプチド配列を決定できると考える。より多くのペプチド配列を決定することはより詳細に胚発生過程を特徴づけることが出来るであろう。

8 参考文献


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