木造の家や建築物を代表として、私たちの暮らしの中には、いろいろな種類の木を使って作られた数えきれないほどたくさんの家具類や道具類、美術工芸品、生活日用品などがあります。お箸(はし)・味噌汁椀(みそしるわん)から住む家にいたるまで、木で作られた物でいっぱいです。
現代では木製品に代わって、スチール製品,プラスチック製品,ポリ塩化ビニル製品などの新素材が使われた物が私たちの暮らしの中で使われるようになりました。それにともなって生活が便利になり、人々の暮らしは確かに豊かになったと言えるでしょう。
多種多様な生活用品は、時代の流れと共に長い年月をかけて自然淘汰されてゆくものです。そんな中で昔も今も長年使われ続けているものは、その物の持つ良さが人々に好まれ続けているからにほかなりません。
私たちの身近にある山々、そこに豊かに育まれる木々の数々・・・ そしてそんな木々から生まれる木の製品の数々は、私たちの日々の暮らしとは切り離すことができません。
収納 ・箪笥(たんす) //帳場(ちょうば)箪笥
おもに商家の帳場(ちょうば)に置かれ、商売をするために大切な帳面や金品などをしまっておきました。小引き出し,引き戸,開き戸,さらには盗難を防ぐためのからくり箱などが仕込まれて作られていました。
人目に付く場所に置かれるために、商家の格式や威厳(いげん)を保ち、さらに信用を高めようと装飾性(そうしょくせい)に富んだ立派なものが数多く作られました。
今でも大切に使われている大きな理由は、たくさん収納できることです。しかも材質が桐で作られているため、とても軽く、また竿(さお)どおしと呼ばれる持ち手が側面に取り付けられていて、とても便利です。
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収納 ・箪笥(たんす) //三つ重ね箪笥
今でも大切に使われている大きな理由は、たくさん収納できることです。また桐材のもつ特質が好まれているからです。
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収納 ・箪笥(たんす) //二つ重ね衣装(いしょう)箪笥
今でも大切に使われている大きな理由は、たくさん収納できることです。また桐材のもつ特質が好まれているからです。
この箪笥は、側面に竿どおしが付いています。士型(さむらいがた)箪笥の流れをくんでいます。
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収納 ・箪笥(たんす) //茶(ちゃ)の間(ま)箪笥
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収納 ・飾棚(かざりだな)
飾り物を置く棚です。生活道具というよりむしろ趣味のものと言えます。
螺鈿細工[らでんざいく=奈良時代に中国から伝えられ、平安時代には蒔絵(まきえ)にも併用されヤコウガイ・オウムガイなどの貝がらの真珠(しんじゅ)部分をみがいて薄片(はくへん)にし、いろんな形に切って漆器(しっき)や生地(きじ)の表面にはめ込み、また貼(は)り付けて装飾する工芸法]がしてあります。
今の生活では普通にある、蛍光灯(けいこうとう)や電球がなかった昔の時代には、和ろうそくや行灯(あんどん)の灯(あか)りの中で暮らしていました。今よりは薄暗い中での生活でした。貼られた貝がらが、わずかな灯りを受けてキラキラと明るく輝いて、さぞ美しかったことだと思います。
木工品にさらに工夫をこらしたものと言えます。
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収納 ・薬箱(くすりばこ)
越中富山(えっちゅうとやま=今の富山県)の薬売りで有名な置き薬(おきぐすり)の箱です。桐でできています。桐は水分を吸収しにくいため、湿気をきらう薬箱や薬箪笥(くすりだんす)では最適です。
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収納 ・収納箱
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火 ・長火鉢(ながひばち)
居間(いま)・茶の間などに置く長方形の箱形の木製の火鉢のことです。燃料は木炭(もくたん)を使いました。
中に灰を入れて五徳(ごとく)を据(す)え付け、鉄瓶(てつびん)をかけてお湯を沸かしておきました。いつでもお茶が飲めます。ほんのりと立ちのぼる湯気は、適度な部屋の加湿もしました。今使われている、加湿器の役目と似ています。
また、銅壷(どうこ=銅または鉄で作った湯沸かし器で、かまどの側壁に取り付けたり、長火鉢の灰の中にうめたりして、火気によってお湯が沸くようにしたもの。)にお湯を沸かして、お酒のおかんをしました。今使われているガスコンロの役目と似ています。
また火鉢の熱を利用して、湿気から守って乾燥させておきたい海苔(のり)や、たばこなどを引き出しに入れて置きました。小抽斗(ひきだし)も五杯(はい)あり収納量もあります。
寒い時期には、もちろん手を暖めることもできます。
引き出しの天板は、ちょっとした物を置くこともできて便利でした。
一台で何役ものいろいろな機能性に富んでいます。長火鉢の中で、もとは木である燃料の炭も、最大限に有効利用され大切に使われたと言えます。
昔の人の知恵を感じます。
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衣 ・衣桁(いこう)
今は家庭ではあまり見かけなくなりましたが、室内で衣類などを掛けておく道具です。写真のものは二枚に折りたためる屏風式のものです。
ハンガーのことを衣紋掛け(えもんかけ)と言うのを聞いたことがあると思いますが、この衣桁からでた言葉です。
今でも着物を着た後に使われます。着物に素早く風を通すことができ、また不要の時にはたたんで片付けておける便利な道具です。
木を黒漆(くろうるし)で塗ったあとに、川辺の何気ない日常の風景が描かれていて、それが自然と目に入り、心が落ち着きます。
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衣 ・糸巻(いとま)き
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衣 ・針箱(はりばこ)
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食 ・瓶子(へいし)
今ではもうほとんど見かけることがなくなりましたが、お酒を入れて、盃(さかずき)につぐものです。今の徳利と同じ役目です。
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食 ・湯桶(ゆとう)
湯茶を入れる器です。多くは漆(うるし)で塗られています。写真は三つ足が付いていて、置いたときに直(じか)に熱が伝わりにくくなっています。
今でもおそばを茹でたときに、後でそば湯を入れて食卓に置かれます。中のそば湯は、しばらくは冷めにくく熱いのに、器の湯桶に触れてもあまり熱くはありません。木の持つ性質の一つである熱の伝わり方のゆるやかさを、うまく利用した道具と言えます。
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食 ・お吸(す)い物(もの)椀(わん)
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食 ・お椀(わん)・銘々皿(めいめいざら)
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食 ・徳利(とっくり)の袴(はかま)
徳利が誤って倒れたり、お膳や座卓が焼き物の徳利で傷ついたり、注いだあとのお酒で置き場所が汚れたりするのを防ぎます。
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食 ・菓子器(かしき)
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食 ・祝(いわい)い台
昔、婚礼や祝い事で人寄せする時に使った物です。お客さん各自の前に出すお膳とは別に、居並ぶ人達の真ん中に置いて、その上に大皿のお料理をのせたお膳です。
また、婚礼の結納(ゆいのう)の品をのせて飾ったとも聞きます。
猫足が付いていて、用途を十分に果たしたことと思います。
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道具 ・算盤(そろばん)
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