竹細工

昔からずっと人々の暮らしの中では、とても多くの様々な道具が、竹を用いて作られてとても便利に利用されてきました。今でも竹製品は、人々の暮らしの中で広くそして深く関わっています。

今はあまり見かけることが少なくなったものが、昔はどんなふうに暮らしに役立っていたのか、そして今でも普通に使われ続けているものなどを、少しだけ見てみましょう。

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竹行李(たけごうり)


竹を材料に用いて編み上げられた行李のことです。
柳行李と同じような機能性と性質を持ちます。

今ではもうほとんど見かけることが少なくなった竹行李ですが、筆者は家に残る行李に裁縫道具類を入れて使っています。

竹の持つ弾力性のおかげでたっぷりと収納でき、かぶせ蓋のおかげでかさ高も増すことができ収納量を増やすこともできます。また誤って落としたりぶつかっても行李がこわれません。

とても軽く、また手触りや通気性がとても良く、昔の人々の知恵には感心しています。

筆筒(ひっとう=ふでを入れておくつつのこと)


今の道具に置きかえれば、ペンスタンドの役割と言えます。今でも筆を使う人達には、使われている道具です。

太く厚みのある竹に、模様(もよう)が彫(ほ)り込(こ)まれてあり、美しいです。

竹製品はこわれにくい性質を持っているので、長年にわたり使用することができます。

提灯(ちょうちん)


提灯は昔の照明器具の一つで、今の道具に置きかえれば懐中電灯の役割と言えます。

昔は今のように電気がなかったため、提灯の中にろうそくを灯(とも)し、足元を照らすために持ち歩いたり、標識として備え付けたりして使われました。

ろうそくの灯(あか)りの明るさは、電気の明るさにはとうていおよばないものでした。そんなろうそくでも、江戸時代の頃はとても高級品でした。

提灯は、細い竹ひごの骨に紙を張(は)り 中にろうそくを立てて用い、折り畳(たた)めるようにした物です。

この提灯は、♪おさるのかごや♪ に出てくる小田原提灯(おだわらちょうちん)と呼ばれるものです。竹ひごで出来た中骨(なかぼね)がリング状に独立しているため、小さく畳んで着物の袂(たもと)や懐(ふところ)に入れて、携帯(けいたい)できました。そのため、懐提灯(ふところちょうちん)とも呼ばれました。

不用の時には提灯を畳み込むと、上下の竹で編まれた蓋の中にすっぽりと納まります。上下の蓋には環(かん)が付いていて、この環にひもや鎖(くさり)を通して、折り畳んで留めて持ち歩きました。

なかなか機能性と携帯性にすぐれた道具だと思います。そして竹でしっかりと編まれているため、とても頑丈(がんじょう)に出来ていて、今でも使えることはとても素晴らしいこだと思います。

眼鏡(めがね)入れ


昔使われていたメガネケースです。

竹で作られていて、うるしで模様が描かれ、メガネが落ちないように金属製のふたが付いていて、さらに裏側には紐(ひも)などを通して下げることにより、落としたりなくしたりしないように(その頃は、メガネの値段も高かったことだと思います。)工夫されています。

キセル


煙管とも書き、今 大人が吸(す)っている紙巻きのタバコ以前の、刻(きざ)みタバコを吸うための昔の道具です。江戸時代から昭和時代の中期頃まで使われていました。

雁首(がんくび)と呼ばれる火皿(ひざら)のある部分と、吸口(すいくち)は金属で出来ていますが、羅宇(らう)と呼ばれる部分は一般的には竹が用いられました。

キセルに竹が使われたのは、竹の持つ性質の一つである熱による変形が少ないこと、また壊(こわ)れにくい強靱(きょうじん)さがあることからでしょう。

竹かご

竹の皿

竹柄杓(たけびしゃく)


お湯や水などを汲(く)む道具です。

カビが発生しにくいのは、竹が抗菌性を備えているからでしょう。

敷物(しきもの)

ざる


箕(み)の形をしています。

箕とは、農具の一つで中に穀物(こくもつ)を入れてあおり、殻(から)やごみをふるい分ける道具です。写真のものは、普通の箕よりもとても小さなものです。

食生活で使われる道具


料理を作る時や食べる時など、今でも竹製品を数多く見ることができます。

写真に写っている竹べらの下のものは、もう20年も使い込んでいますが、熱による変形もなく、竹の持つ強靱(きょうじん)な性質をあらわしています。

台所で水に触れる道具にも関わらずカビも生えにくく、竹の持つすぐれた抗菌作用を見ることができます。

ものさし


このものさしは、40年間も使用していますが落としても割(わ)れず、欠けることもなく、またそりも全くありません。

竹は本当に丈夫です。

団扇(うちわ)・扇子(せんす)


団扇や扇子の骨の部分は竹で作られています。

真っ直ぐに割れる竹の性質と、弾力性に富(と)む性質をうまく利用して作られています。

今、多く見られる骨がプラスチック製のものと、使い心地の良さを比べてみると、やはり竹製のものはプラスチック製を上回ります。あおぐと緩やかにしなり風を送るためか、手も疲れにくく感じます。

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