和名
| 打ち豆(大豆名:「馬のかみしめ」など
|
学名
|
|
科
|
|
文献
| [R1992001]
|
利用法
| 食用
|
地域
| 山形県置賜地方
|
調理法1
| 煮物
|
| 山菜類や干葉類のとの煮物に入れて使います。
|
| ・菜漬煮(主な食材は、青菜漬、打ち豆、油揚げ、煮干、醤油などです。)
|
| ・茎立干しの煮物(主な食材は、茎立ち干し、油揚げ、糸こん、打ち豆、醤油などです。)
|
調理法2
| 味噌汁
|
| 特に蕪の味噌汁の材料に使われます。打ち豆入り蕪汁です。
|
調理法3
| 冷や汁
|
| ・雪菜の冷や汁(主な食材は、雪菜、干椎茸、ほたて、または貝柱、竹輪、油揚げ、打ち豆などです。)
|
調理法4
| 天ぷら
|
調理法5
| 打ち豆入り叩き団子(大正末期〜昭和初期の文献によります。)
|
| 鶏、家鴨、兎などをつぶし、肉をはがしてまだ少し肉の付いている骨を叩きつなぎとして打ち豆を叩いて団子にしたものを、汁に入れたり、煮付けたりします。食材を余すところなく使い、なおかつ男性の手でつぶし叩き易くなると子供に手伝わせ家内中で作る御馳走となったそうです。
|
調理法6
| 七草粥(正月)
|
| 文献によると、正月の七草に、大根、人参、牛蒡、蕪、芹、茎菜、若布、ふのり、蒟蒻などの材料といっしょに打ち豆を入れたそうです。
|
調理法7
| 比丘尼鱠(豆鱠)
|
| 文献によると、黒大豆の打ち豆を使い、大根、人参、干し柿を合わせたなますは、正月14日か15日には必ず食卓にのったそうです。
|
その他
| ・打ち豆の作り方
|
| 大豆に熱湯をかけ、布巾に包み10〜30分程蒸らし、木槌で一粒づつ叩いてつぶし乾燥させます。
|
| ・昔は女衆の夜なべ仕事として、子供も側で手伝いながら、一粒づつ手作りし、いつでも使えるように保存しておきました。内陸に位置する当地方では、日々の食生活における重要なたん白質源の一つでした。大豆はそのままでは固くて調理時間がかかりますが、打ち豆にすることにより、短時間で調理でき、簡単に使用できる利点は、先人達の知恵から生まれた賜物と言えるでしょう。なお、打ち豆は現在では、機械で処理した商品が市販されています。
|
| ・大豆の品種:西置賜地方では「馬のかみしめ」別名「うばのくいしめ」と呼ばれる形は偏平、平面の部分に歯形のような跡がある独特の品種が使われます。手作りし易く味も良いとされています。
|
| ・打ち豆の成分など:良質のたん白源のみならず、植物繊維の含有率も高く、Ca,Fe,VB1,VB2も期待できます。つぶしてあるので、短時間でやわらかくなり、グルタミン酸、サッカロ−スも豊富で溶出が早いなど、栄養価が高く、おいしく、短時間で調理できるという、三拍子そろった伝統食品と言えます。
|