ニューラルネットワークによる高分子の物性の予測 ○田辺 和俊 たなべ かずとし 物質研 松本 高利 まつもと たかとし 物質研 新規高分子の開発では高分子の物性の予測が重要である。高分子物性の予測手 法としては分子動力学法などの計算化学的方法も試みられているが、計算時間 が猛烈にかかる上に系統的誤差を与える欠点がある。一方、原子団寄与法は迅 速、簡便な方法として実用性は高いが、精度を上げようとすると補正項が際限 なく増加するという問題点がある。これは高分子の物性が本来、原子団に割り 当てた定数の線形結合では表せないためであり、このような非線形な関係の解 析にはニューラルネットワークが有効である。そこでニューラルネットワーク を用いて高分子物性の予測を検討した。高分子の物性の中で最も重要なガラス 転移温度をモノマーユニット構造から予測するために、モノマーユニット構造 におけるC-Hなどの結合の数を入力して学習を行った。テストを行った結果、 温度差600K以上のTgの実測値をよく再現する手法を開発することができた。