フラーレン分子の局所的反応性と HOMO-LUMO エネルギー間隔の関係 ○相原 惇一 あいはら じゅんいち 静岡大理 一般に、HOMO-LUMOエネルギー間隔が小さい分子ほど反応性は大きい。 HOMO-LUMOエネルギー間隔が小さいということは、HOMO のエネルギーが大きい か、LUMO のエネルギーが小さいか、またはその両方であることを意味し、フ ロンティア軌道理論からも大きな反応性が予想される。我々は最近、炭素数 90 までのフラーレンのすべての i solated pentagon 異性体について結合共 鳴エネルギーの最小値(min BRE)と T 値を計算し、両者の間によい相関があ ることを見出した。min BRE は、トポロジー的共鳴エネルギーに対する個々の π結合の寄与の最小値であり、そのπ結合付近での反応性と関係している。T 値は HOMO-LUMO エネルギー間隔に共役原子の数を掛けたものである。このこ とから、フラーレンでは、反応性の大きな部分構造があると HOMO-LU MO エネ ルギー間隔が小さくなる傾向があるといえる。