C-13化学シフトテンソルを利用したβ-ジケトンエノールの分子構造解析 ○今城 文雄 いましろ ふみお 京大院理 分子内水素結合型のβ−ジケトンエノールでは速い水素移動の存在が考えられ ている。溶液状態では平均化されて対称構造となっているものでも、結晶状態 では非対称構造となっている場合が多い。これらの状態でも水素移動は存在す るはずであるから構造の平均化が存在すると考えられる。1,1,2,2-テトラアセ チルエタンも結晶状態では非対称型分子内水素結合をもつエノールとして存在 している。そこでモデル化合物を用いて ab initio計算により分子構造とC-13 化学シフトテンソルを計算した結果、35% 存在する反転型エノールとの間での 速いエノール−エノール異性化を仮定すれば実測値を説明することができるこ とがわかった。また、中性子線回折による分子構造もこの結果と矛盾しない。