遺伝的アルゴリズムを用いる1本鎖コラゲンモデルの安定構造探索 ○高橋 紘一 たかはし こういち 近畿大理工 田中 克裕 たなか かつひろ 近畿大理工 ペプチドの安定な立体構造をアミノ酸残基の配列情報から物理的に決定する ことは,蛋白質の立体構造予測のための伝統的なアプローチである.昨年 Kramerらにより human type IIIコラゲンに含まれる合成モデルペプチドのX線 結晶構造解析が行われ,コラゲンの3本鎖ヘリックス構造が確定された.各鎖 はPro-Hyp-Glyの繰り返しからなるゆるいヘリックス構造をとり,鎖間に水素 結合がある. そこで,大域的安定解探索法である遺伝的アルゴリズムを用いて,1本鎖コ ラゲンモデルの安定なコンフォメーションを求めた.アルゴリズムは Mathematicaで記述し,適応度関数として半経験的MO計算(WinMopac)を使い, 最終的にはab initio MO法で安定構造を求めた.求めた安定構造はX線構造の3 本鎖中の構造と同じであり,コラゲンの分子構造が本質的に,繰り返し単位 Pro-Hyp-Glyに依存するものであることがわかった.