ライノウィルス外殻蛋白質の700ピコ秒の分子動力学計算 ○米田 茂隆 よねだ しげたか 北里大理 米田 照代 よねだ てるよ 北里大薬 梅山 秀明 うめやま ひであき 北里大薬 風邪の主要な病原であるライノウィルスの外殻蛋白質は外径300Åという巨 大な球殻状の分子集合体であり、単に内部に遺伝子を保護、運搬するだけでな く、ライノウィルスの感染、増殖に関して精巧な機能をもつ。我々は、特に宿 主細胞への吸着と脱殻のメカニズムの解明を目的として、我々が開発した回転 対称性境界条件という独自の方法により、ライノウィルスの外殻蛋白質の70 0ピコ秒の分子動力学計算を行った。このような巨大分子集合体のこのような 長時間計算は少ない。その分子動力学計算の原子運動の軌跡をもとに、従来の ような個々の蛋白質構造の変化よりも、むしろ、外殻蛋白質中で各蛋白質がど のように並進、回転の運動をしているかに焦点をあて、その集団運動の解析を 行った。その結果より、ライノウィルス外殻蛋白質が脱殻を開始する部分を議 論した。