リチウム含有遷移金属酸化物の構造特性と電子状態に関する計算化学的検討 ○鈴木 研 すずき けん 東北大院工 小野津 崇之 おのづ たかゆき 東北大院工 高見 誠一 たかみ せいいち 東北大院工 久保 百司 くぼ ももじ 東北大院工 宮本 明 みやもと あきら 東北大院工 LiCoO2やLiNiO2をはじめとするリチウム含有遷移金属酸化物は、近年リチウム 二次電池の正極活物質として注目を集めている。さらに最近ではLiNiO2がメタ ンの酸化カップリング反応に対し、高い活性を持つことが確認されている。そ こで本研究ではMD法や量子化学計算といった計算化学的手法を駆使し、層状リ チウム金属複合酸化物(LiCoO2、LiNiO2)の構造特性や電子状態の検討を行っ た。LiNiO2の電子状態と構造の関係を密度汎関数法により検討を行ったところ、 計算により得られた酸素とニッケルの八面体構造は長短二種のNi-O距離をもつ 構造であった。長い部分で2.12Å、短い部分では1.93Åとなり、長短のNi-O距 離で約0.2Åほど差のある歪んだ4+2構造であった。これはLiNiO2中のNiの電子 配置は低スピン状態のNi3+であり、t2g軌道よりエネルギー準位の高いσ型の 反結合性軌道であるeg軌道に一つ電子が入るため、電子格子相互作用に基づく 構造不安定性(ヤーン・テーラー効果)をもつためと考えられる。