ケミカル・ハードネスを用いた電荷移動を伴う分子シミュレーション手法の検討 ○高田 章 たかだ あきら 旭硝子 従来の分子動力学手法は固定電荷を用いるため構成原子の割合や構造が大きく 変わったり、結合の解離や反応が起こるような、すなわち大きな電荷移動が伴 う場合には適用限界がある。この問題に対する処方箋の一つとして、ケミカル ポテンシャルが釣り合うように電荷の移動を許すモデル化が最近提案されてい る。しかしながら安定構造での議論がほとんどであり、モデルのパラメータは 特定の状態について決められるため、大きく歪んだ構造や解離する場合には精 度が悪いと考えられる。本研究ではab initio法による電荷とエネルギーの解 析結果をもとに安定構造から解離する場合まで応用できるような手法を検討す る。解析対象としては水分子を選んだ。今回の検討結果により、原子種ごとに 電気陰性度やケミカルハードネスを決定するだけでは不十分であり、結合状態 等の環境の影響も取り込んだモデルが必要であることがわかった。