TS-1/H2O2/PhOH酸化反応活性種生成におよぼす溶媒構造の効果 ○後口 隆 あとぐち たかし 宇部興産 八尾 滋 やお しげる 宇部興産 概要「Tiを格子内に含むゼオライト(TS-1)を触媒として用いると、フェノール (PhOH)酸化反応において生成するハイドロキノン(HQ)とカテコール(CL)の生成 比およびPhOH転化率が溶媒により変化する。この溶媒の効果は、単に比誘電率 によるものではないことが、実験的に確認されている。我々は各種溶媒を用い た実験とともに、想定される反応機構中間体に対する密度汎関数法による検討 を行っている。先の計算化学討論会では水およびメタノールが、Ti活性中心へ の過酸化水素(H2O2)分子の吸着を安定化することを報告した。今回は、さらに アルコールの構造を変化させ、エタノール、イソプロパノールとしたところ、 H2O2吸着はメタノール>エタノール>イソプロパノールの順に安定であることが わかった。この結果をもとに、実験による検討を行ったところ、HQ/CL比はほ ぼ一定のまま、PhOH転化率は吸着安定化の順と同じくメタノール>エタノール> イソプロパノールの順となった。このことはH2O2のTi活性中心への吸着が全体 の反応速度に影響を及ぼしており、その構造を安定化する溶媒がより効果的で あることを示唆している。計算および実験の詳細に関しては当日報告する」